
甘えというどちらかというとネガティブにとらえられてしまうかもしれない言葉ですが、欧米人の合理主義、個人主義に対比して日本人社会の特性を表現する言葉として、表題の著作で土居健郎先生が使い始めました。唯一の神と自分が直接向き合っているという社会と、一神教ではなくあらゆる物に神、仏が宿るという宗教観で特定の神の前に個人がいるわけではない、神と人、人と人のつながりの多様性が普通にあるなかで和をもって尊しとする日本社会を見て、互いに頼りあい頼られるのも当然という日本人的な社会構造を甘えの構造と表現しました。
決して、甘えを脱して個人主義の社会にならなくてはいけないと言うネガティブな定義ではありません。
大学生の頃この本を読んでたいそう感動したことを覚えています。ああなるほど、日本人は欧米先進国を目指す必要はなく日本人なりの未来像を描けばよいのだと言うことを強く意識しました。その後私が物事を考えるうえで常に頭の中にその考え方が潜んでいて常に影響があったと思います。その土居先生が亡くなられました。合掌。
「モラトリアム人間」の小此木敬吾先生、「心療内科」の池見酉次郎先生、そして土居先生と影響を受けた言葉と著作を著した方々が亡くなるのは時代の流れとはいえ残念です。
今週学んだこと
自分でもともと持っていた長所は自分では見えない、わからない。人にいわれてわかる程度で実はその本質ははっきりわからない。それは自分にとってあまりにも当たり前すぎるから。
それはカリスマといわれる人でもそう。その人たちが力説するのは、自分が苦労して努力して得たこと。もともと持っていた長所は空気のような物でプラスマイナスゼロ。
偉大な先人に学ぶとき、その人が力説するすばらしい点とともにその人が生来持っていた長所の両方をしっかり見据えるといっそう理解が深まり、勉強になる。